エレキギターをオーディオインターフェースに繋いで自宅録音していると、「ジー」「ブーン」といった不快なノイズが入ってしまった経験はありませんか?
実はこのノイズ、周囲の電子機器や家電製品から発せられる電磁波が原因であることが多いのです。特にシングルコイルのピックアップを搭載したギターは、電磁波を拾いやすい構造になっています。
この記事では、ギター録音時にノイズの原因となる機器と、具体的なノイズ対策について詳しく解説します。クリアな音質で録音するために、ぜひ参考にしてください。
ギター録音時に近くに置いてはいけないもの
録音環境を整える上で、まずはノイズ源となる機器をギターやシールドケーブルから遠ざけることが重要です。以下の機器は特に注意が必要です。
スマートフォン
スマホは常に電波を発信・受信しているため、強力なノイズ源となります。通話やデータ通信時はもちろん、待機状態でも定期的に基地局と通信しているため、録音中は別の部屋に置くか、機内モードに設定するのがおすすめです。
特にLINE通話やビデオ通話の着信時には、「ジジジ」という特徴的なノイズが入ることがあります。
パソコン(デスクトップ・ノートPC)
パソコンは「ノイズの塊」と呼ばれるほど、多くの電磁波を発生させます。CPU、GPU、マザーボード、電源ユニットなど、内部の様々なパーツがノイズ源となります。
オーディオインターフェースをPCに接続して使用する場合でも、ギター本体とPC本体はできるだけ離すようにしましょう。デスクトップPCの場合は、本体を机の下に配置するだけでもノイズ軽減効果があります。
ACアダプター・パワーサプライ・トランス
エフェクターやオーディオ機器の電源アダプターには、変圧のためのコイル(トランス)が内蔵されています。このコイルから発生する磁力が電磁波となり、ノイズの原因になります。
特に複数のACアダプターが集中している場所は要注意です。床に這わせたケーブルの近くにアダプターを置かないようにしましょう。
蛍光灯やLED照明
意外と見落としがちなのが照明器具です。特に蛍光灯は点灯時に電磁波を発生させ、「ジー」という連続的なノイズの原因になります。
LED照明も調光機能付きのものや、安価な製品は電磁波ノイズを発することがあります。録音時は照明を消すか、白熱電球や質の良いLED照明に切り替えるのが理想的です。
テレビやモニター
テレビやPCモニターも画面表示のための回路から電磁波を発生させます。特にブラウン管テレビは強力なノイズ源でしたが、液晶やOLEDでも完全にノイズがないわけではありません。
録音中はモニターの電源を切るか、ギターから十分に離れた位置に配置しましょう。
モーター搭載の家電製品
掃除機、ドライヤー、扇風機、エアコン、冷蔵庫など、モーターを使用する家電製品は特に強いノイズを発生させます。
これらの機器が稼働している間は録音を避けるか、別の部屋で使用してもらうようにしましょう。冷蔵庫のコンプレッサーが作動するタイミングでノイズが増えることもあるため、注意が必要です。
効果的なノイズ対策のポイント
機器を遠ざけるだけでなく、以下の対策を組み合わせることで、さらにノイズを軽減できます。
ギターの向きを変える
ギターのピックアップは、電磁波を拾う方向によってノイズの大きさが大きく変わります。録音場所で立ち位置や向きを変えながら、ノイズが最も小さくなる角度を探してみましょう。
東西南北の方角を変えたり、体を90度ずつ回転させたりして、最適なポジションを見つけることが重要です。
アースを正しく取る
コンセントにアース端子(3ピン)がある場合は、アンプやオーディオインターフェースを必ずアース付きコンセントに接続しましょう。
ギターの弦やブリッジに触れるとノイズが消えるのは、演奏者の身体を通じて電磁波をアース(地面)に逃がす「弦アース」が機能している証拠です。これはギターが正常に動作している状態ですが、アースがしっかり取れていればさらにノイズは減ります。
質の良いシールドケーブルを使用する
シールドケーブルは長ければ長いほどノイズを拾いやすくなります。必要最小限の長さで、シールド性能の高い良質なケーブルを選びましょう。
ケーブルを束ねて固定したり、電源ケーブルと並行して配線したりするのも避けるべきです。
ゲインの適正化
録音時にゲインを上げすぎると、ノイズも一緒に増幅されてしまいます。オーディオインターフェースの入力ゲインは、音が歪まない範囲でできるだけ低めに設定し、DAW側でレベルを調整するのがコツです。
ピックアップの種類を検討する
シングルコイルピックアップ(ストラトキャスターなど)は、その構造上どうしてもノイズを拾いやすい特性があります。
ノイズが気になる場合は、ハムバッキングピックアップ(レスポールタイプ)や、ノイズレスタイプのピックアップを搭載したギターを使用するのも一つの解決策です。既存のギターのピックアップを交換するという選択肢もあります。
まとめ
エレキギターの録音時に発生するノイズは、周囲の電子機器や家電製品から発せられる電磁波が主な原因です。
スマートフォン、パソコン、電源アダプター、照明器具、モーター搭載家電などをギターから遠ざけることで、大幅にノイズを軽減できます。
さらにギターの向きを調整したり、アースを正しく取ったり、質の良いケーブルを使用したりすることで、よりクリアな音質での録音が可能になります。
少しの工夫で録音環境は大きく改善されます。ぜひ今日からノイズ対策を実践して、高品質なギター録音を楽しんでください。

 
       
       
       
       
  
  
  
  

コメント