DTMや音楽制作を始めるとき、最初に迷うのがオーディオインターフェースの選び方です。「安いものでも十分?」「高いものは何が違うの?」と悩む方も多いでしょう。
オーディオインターフェースは、マイクや楽器からの音をパソコンに取り込んだり、パソコンから音を出力したりする重要な機器です。音質やレイテンシー(遅延)、使いやすさに大きく影響するため、自分のレベルや用途に合った製品を選ぶことが成功の鍵となります。
この記事では、4万円以下の初心者向けから、15万円クラスの中上級者向け、そしてプロ仕様の高級機まで、予算別におすすめのオーディオインターフェースを9機種厳選してご紹介します。それぞれの特徴や向いている用途も詳しく解説するので、きっとあなたにピッタリの一台が見つかるはずです。
4万円以下:初心者・手軽に始めたい人向け
Focusrite / Scarlett 2i2 4th Gen
DTM入門機の定番として多くのクリエイターに愛用されている「Scarlett 2i2 4th Gen」。シンプルで直感的な操作が可能で、PCに繋いですぐに録音を始められる手軽さが最大の魅力です。
新しいマイクプリアンプと「AIRモード」により、ボーカルや楽器の音がよりクリアで抜けの良いサウンドになります。特に歌ってみたやボーカロイド曲の仮歌録音、アコースティックギターの録音に適しており、繊細な弦の鳴りを忠実に捉えることができます。
また、Ableton Live Liteや各種プラグインなど、すぐに制作を始められるソフトウェアが多数付属するのも初心者には嬉しいポイントです。
こんな人におすすめ:
- DTM・録音を初めて始める人
- 歌ってみた・弾き語り配信をしたい人
- シンプルで使いやすい機材を求める人
Steinberg / UR22C
Cubase開発元の製品である「UR22C」は、DAWとの連携が非常に安定しているのが特徴。32bit/192kHzの高解像度に対応しており、価格帯を超えたクリアな音質を実現します。
特筆すべきはループバック機能の搭載です。自分の声とPCの音をミックスして配信する際に非常に便利で、ゲーム実況やラジオ配信、歌枠などを行いたい配信者には特におすすめ。頑丈な金属筐体で持ち運んでの使用にも安心です。
こんな人におすすめ:
- Cubaseユーザー
- ゲーム実況・配信者
- 安定性重視の人
MOTU / M2
この価格帯では異例の、透明感のある高音質を実現している「M2」。録音だけでなくリスニング環境の向上にも貢献する、音質にこだわりたい初心者に最適な製品です。
フルカラーのレベルメーターで、視覚的に入力レベルを正確に把握できるのも特徴。この美しいメーターは配信画面を彩るアイテムとしても活用できます。
超低レイテンシーを実現しており、ボーカルや楽器の演奏を快適に行えます。繊細な音のニュアンスを捉えたい場合にその実力を発揮します。
こんな人におすすめ:
- 音質重視の初心者
- 見た目にもこだわりたい人
- 低遅延を重要視する人
15万円以下:クオリティと機能性を求める中・上級者向け
Solid State Logic / SSL2+
プロのスタジオでも愛用されるSSL社のミキシングコンソールのサウンドを再現する「4Kスイッチ」を搭載した「SSL2+」。ボーカルやギターにパンチを加えたい場合に非常に効果的です。
この「4Kスイッチ」によるパンチのあるサウンドは、ロック、ポップス、EDMなど、力強いボーカルや楽器の音が求められるジャンルと相性抜群。2つのヘッドホン端子やMIDI入出力も備え、複数人での作業や様々な機材との連携も可能です。
こんな人におすすめ:
- ロック・ポップス系クリエイター
- パンチのある音を求める人
- 外部機材を多く使う人
RME / Babyface Pro FS
業界トップクラスのドライバー安定性を誇る「Babyface Pro FS」。トラブルが許されない場面でも安心して使用できる圧倒的な信頼性が最大の武器です。
音に色付けをしない、非常にクリアで原音に忠実なサウンドが特徴。楽器やボーカルの音をありのままに、極めてクリアに録音したい人に最も向いています。
コンパクトでバスパワー駆動も可能なので、自宅だけでなく出先でもプロレベルの制作が可能です。
こんな人におすすめ:
- 絶対的な安定性を求める人
- モバイル制作環境を構築したい人
- 原音重視・クリアな録音を求める人
Universal Audio / Apollo Solo
伝説的なアナログ機材をエミュレートした高品質なUADプラグインをリアルタイムで使用できるのが「Apollo Solo」の最大の特徴。録音段階からサウンドメイクを楽しめます。
録音した音に豊かな「アナログ感」や「温かみ」を加え、プロレベルのサウンドを追求できます。特にギターアンプシミュレーターやボーカル用エフェクトをかけながら、遅延なく快適に録音できます。
Thunderbolt接続により、将来的に上位のApolloモデルに移行しても、今までの資産を無駄にしません。
こんな人におすすめ:
- アナログ感のあるサウンドを求める人
- ギターボーカリスト
- 将来性を重視する人
プロ仕様:最高峰のサウンドを求める上級者向け
Universal Audio / Apollo Twin X Duo
DSPチップ2基を搭載し、より多くのUADプラグインを同時に使用できる「Apollo Twin X Duo」。高負荷なプロジェクトにも対応できる処理能力を持ちます。
世界中の有名アーティストやプロデューサーに愛用されており、プロの現場でもメイン機として活躍。Thunderbolt接続により、最高のサウンドクオリティと超低遅延を実現します。
高品質なマイクと組み合わせることで、最高のボーカルレコーディングが実現できます。
こんな人におすすめ:
- プロレベルの制作環境を求める人
- 多数のプラグインを同時使用したい人
- 有名アーティストと同じ機材を使いたい人
Antelope Audio / Orion Studio Synergy Core
多数のDSPとFPGAチップを搭載し、リアルタイムで膨大な数の高品質なエフェクトを処理できる「Orion Studio Synergy Core」。最高クラスのAD/DAコンバーターにより、驚くほどクリアで奥行きのあるサウンドを実現します。
多数の入出力を備えており、バンドの一発録りや多くの外部機材を接続する大規模な制作に対応。ドラムセットのマルチマイク録音など、多くのマイクを同時に使う場面で真価を発揮します。
こんな人におすすめ:
- バンド録音・大規模制作を行う人
- 多数のエフェクトをリアルタイム使用したい人
- 最高峰の音質を求める人
Apogee / Symphony Desktop
プロのスタジオで愛用されるApogeeの技術を搭載し、暖かく、ディテール豊かなサウンドが特徴の「Symphony Desktop」。タッチスクリーンでの操作が可能で、非常にスムーズで直感的に設定を変更できます。
Apple製品との親和性が高く、Macをメインの制作環境としている人に特に向いています。ThunderboltとUSBに対応し、持ち運び可能なサイズながら、プロレベルのパフォーマンスを提供します。
Apogeeならではの、暖かく、音楽的な響きを持つサウンドは、ジャンルを問わず、音の質感を大切にしたい人に最適です。
こんな人におすすめ:
- Macユーザー
- 音の温かみ・質感を重視する人
- 直感的な操作性を求める人
まとめ
オーディオインターフェース選びは、あなたの音楽制作の方向性を決める重要な選択です。初心者の方は4万円以下のエントリーモデルから始めて、技術やこだわりが増してきたら上位機種にステップアップするのがおすすめ。
予算だけでなく、自分がどんな音楽を作りたいか、どんな楽器を録音するかを考えて選びましょう。この記事で紹介した9機種は、それぞれ異なる個性と強みを持っています。あなたの音楽制作ライフを素晴らしいものにしてくれる、最適な相棒を見つけてください。
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